先日、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社のシネマティック系音源特設ページにDIGITAL SONIC DESIGNのインタビューが掲載されました。
日頃からエレクトロニック・スコアリングの技術向上を目指している私たちにとって、このようなインタビュー依頼をいただくことは、本当に光栄でした。
インタビュー記事をご覧いただいた方から「制作の裏側がわかっておもしろかった」というご感想をいただいたので、おおよその普段の作業課程をふまえて私の思ったことを書いてみようと思います。
純粋に楽曲制作の場合ですが、まず私がデモ曲を作り、
それを元にクライアントとイメージのすり合わせをします。
シーケンサー(MIDI入力)はProToolsLEを使っています。
以前はDigitalPerformer一筋だったのですが、提出用音源化とミックス作業をする方がProToolsHDのため、一度私の方でDigitalPerformerで作ったSMFを読み込みなおし音源を割り振り、波形データがある場合はタイムコードをメモって該当箇所に貼付けたProToolsのセッションデータを受け渡すという手間のかかることをしていました。
最初からProToolsで作ってしまえば、データの互換性があるので、読み込みや貼付けミスも防げることから乗り換えを決意し、ProToolsMIDI打ち歴、約1年8ヶ月となります。
ここではしっかり作り込むことはしません。方向性が異なる場合もあるからです。
ですが、他の方に聞かせることは変わりませんし、適当な音色で作ってしまっていると自分のイメージもしぼんでしまうので、完パケイメージに近い音色で、おおまかなアーティキュレーションをいれる感じです。
生録音をすることがわかっている場合はベタ打ちでも(後に楽譜にすることもふまえ)良いと思うのですが、次に音源マニピュレート作業をするにあたり、自分ではない他の方におまかせするということですから、確実にわかっているところは決めておいて、これはどういう解釈なのだろう?と迷う時間を省いたり、時間が迫っているのに「これ違うんだけれど...」ということが無いようにできればと思っています。
...と、幸いにも楽曲内容のイメージすり合わせチェックを通過すれば、次の段階に進むわけですが、ここからがシネマティック系音源のインタビューの内容とつながってきます。
こちらのインタビューでは、マニピュレートを担当している関正道が回答しておりますが、改めて私も読み直し、なかなか過程を字で確認することが無いものですから、なるほどなぁと思ったり、いろいろと省みる点もありました。
私方向からの見方ですと、ついつい楽曲自体の内容ばかりにに焦点がいきがちですが、このように少し距離をおいて見てくれる方がいてくれることで、演奏したらどうなる?ということまで意識することができます。
ですから、マニピュレート作業に入っても、微調整することは多くあります。実際に音源で演奏されたものを聞いて「ここは無理があるかも...とか、こういう配置にしたほうがよりよいかも」と気づくことがあるからです。
そうこうして、楽曲、演奏法等々、ほどよいところに落としこめたものはトラックダウン作業へと移ります。(これ以降はインタビュー内容と離れる作業となるので今回は省略いたします)
こういう制作スタイルになってから、一番気にするようになったのは音と音の間合いでしょうか。
インタビューにもあるように「注目すべきは小さな音量と音色」、フゥっと息を抜いて行き静寂に溶け込むような、そういう部分にも気を遣えるように、そしてそういう部分があるから派手な部分も生きる、ということを意識しはじめたことが大きな変化の一つだと思います。
そういう演奏者の方が当たり前に表現していることに気づくことも大事なのことなので、生演奏を聞いて研究をしています。
それと、ほどよい余白といいますか。自分ではおそらくこれはこういうことなんだろう、と思っているものを、あえて揺らぎというのか、少し想像で補完する余地を作るといいますか、ぎっちりと詰め込まないようにすることを心がけています。
言いたいことを全て言ってしまう、という手法もあるとは思うのですが、そればかりでは無いということも考えながら制作しています。
「サンプリング音源は、生演奏に近い音で和声や作曲のアイディアを何度でも試せる」
これこそ、一番のサンプリング音源のメリットであると思います。
出来上がった音源を確認することで、逆にあ、次はこういう風にした方がよいかも?という試行錯誤がデータ上で無限にできますし、その中でまた新たな作曲アイディアを発見することがあったりします。
以前は「作曲する」→「音源化する(正確には音源化するものを聞く)」の一方通行(多少のすり合せはできたものの深くまではなかなか関れない)であったものが、両方向からの良い意味での干渉といいますか、そういう中で編み出された書法もあります。
音符だけでなくすぐ音がでる状態で残しておけるというのも非常に助かりますね。
今回はシネマティック系音源のインタビューということで、サンプリング音源のみについて書いてきましたが、生演奏と組み合わせたりすることありますし、生演奏と打ち込みとお互いの良いところをうまく生かせるような表現を開拓していけたら...と思っております。
最後に、インタビュー記事をご覧下さった皆様、そしてご感想下さった皆様へ、心より感謝いたします。
コメントする
以下のアカウントでもコメントする事が出来ます。